国会図書館のWebサイトで絶版になった音楽書籍が閲覧できるのがとても便利な件
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絶版になった書籍についてよくある問題

作曲をしたり、音楽について理解を深めるために勉強したいと思ったり、論文の執筆のために必要な書籍を集めたいと思ったりする人は少なくないでしょう。必要だと思う書籍名で、書店や通販サイト、図書館の蔵書などを検索していくことになると思いますが、時々、ぶつかることになる壁が「絶版」です。では、「絶版」とはそもそも何でしょうか。

絶版(ぜっぱん、ぜつばん)とは、書物重版しなくなること[1]。転じて、生産が中止、または終了となり一般流通からの入手が困難になっている物品に対しても用いる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/絶版

売れ行きが良くなかったり、著者が亡くなってしまったりするなど、様々な都合が原因で絶版になってしまうことがあります。学習参考書や、専門書などで、読者からの評価が高いものであっても、このような事態に陥ってしまうことがあるのです。

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必要な書籍が絶版になった時に考えられる対処法

今回は特に、音楽系の書籍について触れていきます。絶版になってしまった書籍がある場合には、主に、以下のような対処法が考えられます。

書店に問い合わせる

複数の拠点を抱えているような大型書店等の場合、都市部では在庫が残っていないけれども、地方でまだ在庫がある場合もないわけではありません。Web上で書籍・楽譜等の在庫を確認したり、問い合わせたりすることができるので、まずは、ホームページから問い合わせてみることをおすすめします。

出版社に直接問い合わせる

書店で流通しなくなっても、出版社に在庫がある場合もあります。書店で見つからなくても、問い合わせてみたら、ギリギリ残っているという可能性もゼロではないので、確認してみると良いと思います。

図書館で探す

検索する候補となる図書館は、大きく分けて3つです。一般的な図書館、音大などの専門的な機関の図書館、国会図書館です。

一般的な図書館

自分が住んでいる都市や、その近隣の都市の図書館でも、音楽系の書籍が置いてあることがあります。意外にも、専門書が置いてあることが時々あるので、気になる図書館のWebサイトから検索してみると良いと思います。

音大などの専門的な機関の図書館

音楽大学には附属図書館があり、楽譜や音楽関係の書籍もたくさん蔵書されています。一般の方でも閲覧できる場合や、貸し出しを行っている場合など、図書館によってルールが違います。一般の方でも書籍等を閲覧できるようになっている附属図書館などの機関を以下に挙げてみました。

東京文化会館音楽資料室

JRの上野駅を出て目の前にある建物の中にあります。東京文化会館は、クラシック音楽の演奏会などがよく行われる場所なのですが、楽譜や音楽書籍なども所蔵している資料室があるのです。入る前にコインロッカーに荷物を預けて置く必要があります。

利用者登録を行えば、音楽関係者でない趣味の方でも利用可能です。資料を持ち出すことはできませんが、閲覧・コピー(著作権法の範囲内に基づく)、音源などを聴いたりすることは可能です。利用者登録をするとこちらで資料の閲覧などを行うことができるようになります。

東京藝術大学附属図書館

http://www.lib.geidai.ac.jp/guide.html

東京藝術大学の図書館は、上野と取手にあります。現在、学外の人は事前予約制で利用することができるようになっています。利用可能な時間帯なども、時期によって変わるため、事前にホームページで調べておくのが良いかと思います。クラシック音楽や現代音楽などの資料だけではなく、ジョン・ウィリアムズのスコアや、鷺巣詩郎が音楽を担当した『シン・ゴジラ』のコンデンスドスコアなど、音楽系の書籍はかなり豊富です。

桐朋学園大学附属図書館

https://www.toho-lib.com

一般の方は、仙川図書館のみ利用可能となっています。利用する場合には、事前に予約が必要となっているため、その点だけ注意しましょう。

基本的に一般利用が許可されていない音楽大学について

他の大学に学生や教員として所属している場合、所属大学の図書館からの紹介状を用意した上で問い合わせるなどの手続きを踏めば、資料の閲覧が許可されることがあります。また、地域の図書館から問い合わせを行ってもらうという方法もあります。本来、所属している学生や教員が第一ですから、こうなるのも仕方がないですが、どうしてもその図書館にしか無い資料を閲覧する場合に使うことのできる方法です。

国立国会図書館

https://www.ndl.go.jp/index.html

国立国会図書館は、本館が永田町にある、国会議員なども利用する図書館です。国内で刊行された書籍の多くがこちらの図書館に蔵書されています。音楽書籍や楽譜はもちろんのこと、音大入試の過去問や漫画など幅広いジャンルのものがあります。絶版になっている書籍などが所蔵されていることも少なくありません。どんな書籍があるのかは、ホームページ上から簡単に検索することができます。利用するには、後述しますが登録の手続きが必要になります。

中古で探す

新品のものが手に入らないならば、中古で販売されているものがあるか探してみるのが良いです。Amazonブックオフメルカリあたりが充実しているように思います。また、音楽系の書籍であれば、古賀書店のような古書店に問い合わせをしてみるのも一つの手段です。ただ、一点気をつけるとしたら、Webで中古品を購入する場合、定価よりも値段が高くなってしまっていることが多々あります。手が届かないレベルで高額になってしまっている場合には、他の手段も検討してみることが大事だと思います。

復刊希望のリクエストを出す

方法としては、出版社にリクエストを送るか、復刊希望のリクエストを募っている会社などを通して希望を出すというものが挙げられます。復刊ドットコムでそうしたリクエストを受け付けているので、一度、見てみると良いと思います。

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国会図書館をWebで利用するという魅力的な選択肢

今までは、国会図書館の書籍を閲覧したいという場合、直接訪れるか、取り寄せるかなどの手段しかなく、住んでいる地域によっては利用しにくい状態でした。それが改善され、絶版になった書籍全部が対象というわけではありませんが、すぐに閲覧したいという場合に、国会図書館のWebサイトを利用して音楽系の書籍を探すことができるようになりました。ただ、事前の準備が必要なので、一度も国会図書館を利用したことがないという方は、まず、以下のことから順に始めてみると良いと思います。先程、掲載したリンクから国会図書館のホームページに飛ぶことができます。

まず、登録が必要

https://www.ndl.go.jp/jp/registration/individuals_official.html

国会図書館は誰でも利用できるようになっているのですが、登録をしないと書籍の閲覧等ができないようになっています。満18歳以上の方ならば、誰でも登録可能です。「本登録」をしないと絶版本をWeb上で確認することができないので、この点については注意が必要です。首都圏に住んでいる方ならば、現地に向かうのには公共交通機関などを使えば簡単に行くことができますが、地方に住んでいる方の場合、なかなか行く機会が無いと思います。登録するにあたっては、現地に行って登録する場合とオンラインで登録する場合と2通りあるので、それぞれの都合に合わせて検討してみてはいかがでしょうか。

現地に行って登録する場合

氏名、生年月日、現住所が確認できる書類を持参して必要書類に記入すると登録することができます。人が多い時にいくと待機時間がそこそこ長かったので、時間に余裕がある時に登録しにいくことをおすすめしておきます。

オンラインで登録する場合

国会図書館のホームページの新規利用者登録からメールアドレスを登録し、本人確認の手続きを行うことで本登録が可能になっています。住んでいる地域から国会図書館までの距離が遠い人や、普段忙しくで現地に向かうことが難しい人などはこちらの手段を使うと良いかと思います。

登録の有効期間

登録には、有効期限があり、登録をした日から3年間となっています。ホームページによると、以下の方法で期限をその日から3年後までに延長できるとのことです。

・東京本館または関西館に入館する

・国際子ども図書館児童書研究資料室に入室する。
・「登録利用者カード」の発行を受ける。

・国立国会図書館オンラインで「簡易登録」から「本登録」への移行を申請し、手続が完了する。

・本人確認書類を提示した上で、利用者情報の変更手続を行う。

・国立国会図書館オンラインにログインする。

遠隔複写サービスを利用する(当館がお申し込みを受け付けた日から3年後まで延長されます)。

https://www.ndl.go.jp/jp/registration/individuals_official.html

失効すると、サービスが利用することができなくなるので、再度登録が必要になるというとても面倒なイベントが発生してしまいます。ですので、定期的に国会図書館の何かしらのサービスを利用しておくことをおすすめします。

どうやって使うのか?

登録が済んだ状態で、検索をしてみます。GoogleやYahoo!などでの検索に慣れている方であれば、特に問題はないでしょう。

ログインする

https://www.dl.ndl.go.jp/soushinLogin

まず、国会図書館のウェブサイトのデジタル化資料送信サービスのページからログインをします。登録したIDやパスワードを入力しましょう。国会図書館以外の図書館や自宅からアクセスすることができます。細かいサービスについて対応していない図書館もあるので要注意です。

国立国会図書館ホームページ「デジタル化資料送信サービス(図書館送信・個人送信)」のページ

用語・条件などを入力して検索する

調べたい書籍に関係する用語などを入力します。今回は、「メシアン 音楽語法」で調べてみました。最近、こちらの書籍は新訳版が出ているのですが、そこそこ値段がするため、まずは旧調べる際、図書館・個人送信資料の項目にチェックをつけておきましょう。

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対象の書籍を探し出す

対象の書籍が見つかったら、クリックすれば閲覧できるようになっています。

印刷はどうやるか?

国会図書館に行くと、有料ではありますが、書籍の一部をコピーすることができるサービスがあります。オンラインの場合はどうすれば良いのかと言うと、国会図書館以外の図書館からは(デジタル化資料の複写サービスに対応していれば)、その図書館で印刷することができるようです。図書館によって印刷の料金など異なるので、問い合わせてみる必要があります。国会図書館では、遠隔複写のサービスを行っているので、Web上で自分が必要な箇所が本の何ページから何ページまでなのかということを確認して申し込むようにしましょう。

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最後に

今までは、作曲家や楽曲について調べたり、レポートや論文などを書いたりする際に資料をオンラインで閲覧できる場合が限られていましたが、国会図書館が絶版になった書籍を家からでも閲覧できるようにしたというのは多くの人にとって役立つ良い取り組みだと思います。古書店やネットの中古販売だとプレミア価格がついてしまい、入手しにくくなっていた資料に関しても、無料で閲覧することができる可能性が出てきたので、自分の興味を掘り下げていきたいという人にとって大変嬉しい知らせだったことでしょう。備忘録的に書いたこの記事が何かの役に立てば幸いです。

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