東京藝術大学の音楽環境創造科の入試対策とは?
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自分なりにやってきた受験対策の記録として

自分は2020年の3月に東京藝術大学の音楽学部音楽環境創造科を卒業しました。その振り返りも兼ねて、入試の対策などで何をやったのかということを明らかにしたり、ネットで流布している怪情報の否定などがこの場でできたりすれば良いかなと思い、記録として色々と書き連ねていこうと思います。

何かしらお役に立てれば幸いです。しかし、入試要項等に書かれている客観的な事実以外に関しては、著者の主観が入っており、この文章の通りにやったからといって合格が確実になることを保証するものではないので、その点だけご了承いただいた上で読み進めてもらえればと思います。

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センター試験(共通テスト)について

もう2021年から共通テストに変わっていますが、一番大事な試験と言っても過言ではないでしょう。これに関しては、明確な根拠があります。センター試験(共通テスト)+1次の筆記試験で最初の選抜が行われますが、入試要項には、2次試験については、「1 次の成績(700点満点)に, 2 次の小論文(100点)および面接(200点)の成績を加え,その合計 点(1000点満点)により合否を判定する。」と書いているため、この学科に関しては、センター試験の成績が配点の半分を占めていることになります。それだけ配点が大きいので、学力がない人はその分だけ合格可能性を下げてしまうと思います。

センター試験で7割程度しか取れていない人でも合格している人はいます。ただ、そうした人は文章を書くのが得意だったり、音楽的な知識や経験が豊富だったり等、試験で評価される他の項目で圧倒的にカバーしているという印象なので、7割程度でも受かるというように考えるのではなく、取れるだけ点数を取ることが大事です。自分は、面接と自己表現の評価がどうなるかという要素が不確定なものだったので、他で9割取れば、面接半分でもトータル8割ぐらいは行くだろうし、一般的な国公立大学であっても、トータルで8割とって落ちるところはほとんどないだろうという考えのもとで対策をしていきました(9割ぐらいないと足切りされるような大学もありますが、2次試験等全部を足し合わせて合格最低点が8割になってるところはあまりない印象でした)。

「藝大なのだから、最後の面接で披露する内容の芸術性が優れていれば受かるだろう」というのは勘違いも甚だしいです。詳しくは募集要項などを見れば理解できるでしょうが、試験科目すべての合計で合否を判断されるようになっているからです(自分が受験した当初の情報なので、今後、指針が変更されるかは募集要項を必ず確認すること)。美術学部などでは、びっくりするぐらい学科試験ができてなくても受かってしまうような人もいるようですが、この学科だけはそういうわけにもいきません。器楽科であっても、受かるか受からないかの瀬戸際でセンター試験の結果が合否を決めるカギになったという話も聞いたことがあるので、ただ単に「音楽の経験があるから」とか「音楽系の高校に通っているから」という理由で有利になるものでもないという現実をお伝えしておきます。

参考までに2016年のセンター試験での自分の得点を書いておくと、以下のような感じでした。

・国語 194/200 (現代文 100/100 古文 50/50 漢文 44/50)

・英語 筆記 190/200 リスニング 44/50

・現代社会 74/100

一度大学受験を経験していることもあり、受験する年の7月終わりぐらいから1日3時間程度勉強していました。学費を稼がなければならなかったので、受験で全く使わない物理を理系の大学受験生に教えたりする傍、勉強していました。残りの時間は、作曲やら面接やら小論文やらに費やしていたと思います。ちなみに現代社会は模試の復習をしたり、新聞を読むことぐらいしかしていないので、ほぼノー勉です。自分の場合は基礎の土台があったから短期間でどうにかなりましたが、初めて大学受験をするといった方、ブランクがあって大学受験する方は、上記のような荒っぽいやり方は絶対にやめておいた方が良いでしょう。

短期間でセンター試験を攻略した荒っぽいやり方が知りたい場合には、以下を参考にしてもらえればと思います。センター試験は、共通テストと比較すると、出題形式が若干変わってしまっているところはありますが、基礎を十分に学習すること、処理能力を磨くことということに関して共通点が存在すると思うので、多少なりともヒントになる要素はあるかと思います。

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一次の筆記試験について

一般的な大学受験にも共通することですが、大学で教えている先生が入試問題を出題するので、先生方のプロフィールなどから専門分野を特定し、著書、論文などもヒントにしつつ、勉強を進めながら出てきた疑問点を解決していくというのが1点でも点数を多く稼ぐための心構えではないかと思います。出題される内容は大きく分けて以下の4つです。年度によっても出題される内容が若干変わってくるものもあるので、「◯◯さんがこう言っていたから」という過去の情報を鵜呑みにするのではなく、過去問を取り寄せるなどして自分自身で傾向を分析の上で勉強するのが良いと思います。

・楽典
・音楽史
・美術・建築などの芸術関連の知識
・音響関連の知識


これらの内容に関して、自分自身が参考になったものを以下に挙げておきたいと思います。

・楽典

上野の学生が受ける楽典の試験と比較すると、難易度としてはかなり易しいと思います。中には、「ほとんど対策していなかった」という人もいますが、勉強すれば必ずできるようになる内容なので、こうした意見は絶対に無視しておきましょう。

内容としては、音楽之友社の黄色い楽典の内容がほとんどですが、時々、楽器の音域や特徴なども聞かれるので、そうした点についても抜かりなく対策しておくことが必要です。

楽典の対策で参考になる書籍

楽典新装版 理論と実習

楽典としては最低限の内容がまとまっているものになります。音環の入試対策としては、基本的にこれをメインに使っていけばよいと思いますが、他の学科や私立の音大などを受ける場合には情報が不足しているように思います。また、一般的な大学入試ではよくある話ですが、「定年などの関係で作問者が変わることがある」といったことも予想できるので、この本に関しては、勉強開始の初期に使いつつ、最後にヌケ・モレがないかを確認してみると良いでしょう。

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楽典 音楽家を志す人のための(新版)

黄色い本には書かれていない、テンポの計算や音楽史などの内容が書かれています。上野の方にある学科を受ける場合には過去問を見る限り、これもやった方がいい気がします。音環の場合、黄色い本を仕上げてから、万が一傾向が変わった時に備えるという意味でこの本もやっておくと良いでしょう。

楽典問題108集

自分の勉強に穴がないかどうかを確認する上で役立ったという印象です。上記のような「ザ・楽典」といった内容のみならず、クラシックの楽曲の楽器編成について問う問題などもあったりしたので、足りていない知識に関しては調べて復習するという感じで勉強するのがこの本の使い方だと思います。

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はじめてのオーケストラ・スコア-スコアの読み方ハンドブック

作曲をやるつもりの人ならば、管弦楽法の本や、邦楽器などについて扱った本まで読んでおいても損はないのですが、あくまでこの形式の入試の対策という観点でいうと、オーケストラで使われる楽器の特徴や音域はこの本でほぼ足りると思います。邦楽器についての情報は音楽の教科書+自分で細かく調べるということで何とかなると思いますし、過去問を解いていて西洋の楽器についても足りないなと思った事柄などは調べれば情報不足を補えるでしょう。

音楽史

音楽史に関しては、クラシックの作曲家については、あまり細かいところを問われた印象がないです。あまり分厚くない音楽史の本でもカバーできるのではないかと思います。現代音楽の作曲家については、あまり自分は詳しくなかったので、本に出てきたものと代表作をチェックする程度しかやっていませんでした。

決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで

自分は基本的にこの本だけ使っていました。足りない知識は調べたり、世界史や日本史などの資料を頼りにして情報を補うようにしていました。

Emprise(エンプリズ) 〜現代音楽の系譜から、コンピューター・ミュージック、エレクトロニック・ミュージック、ニュー・メディア・アート、新たなパフォーマンスへの進化

シラバスを確認してから書店でチェックした方が良いと思いますが、在学中の講義でこの書籍を使いました。この学科の先生の著書なので、入試のネタに使われる可能性はあります。入学後に選べる専攻は色々とあるのですが、音環で作曲をやる場合、学内でどんなことを学ぶのか?ということを知る上では役立つかと思います(このジャンルが全てというわけではないのですが、あくまで一部分としてこういうものがあります)。

美術・建築などの芸術関連の知識

美術検定の3級の問題集を使っていました。どう対策していいかわからなかったのですが、何もやらないのは勿体無いので。1~2問程度ですが、勉強した内容が出てきた気がします。過去問やこうした問題を解きつつ、知らなかったことを書き足す形で勉強していました。また、世界史や日本史などの資料集に掲載されている文化史の分野もよく読み込んでおくと役立つことでしょう。

美術検定問題集

音響関連の知識

自分自身は、過去問で出たところの関連箇所をWikipediaで読み込む以外はしていませんでしたが、後になって、こういった本を読んでおけば良かったのではと思った書籍を挙げておきます。

レコーディング/ミキシングの全知識

「全知識」と書いてありますが、この本に書かれている内容が全てではありません。ただ、マイクの種類などについて概略を知っておく手がかりにはなると思います。

ミュージッククリエイターハンドブック

MIDI検定の公式ガイドブックとなっている本ですが、概略程度にMIDIについての話や音響、音楽著作権などについての話がまとまっています。音響のゼミに行けばPro ToolsやReaperなどのDAWに触れる機会があり、録音や編集などについて学ぶ機会がありますが、作曲目線で詳しく解説される機会はほぼないと思った方がいいので、DTMで曲を作りたい人はこの本やSleepfreaksなどのサイトを頼りに学ぶと良いと思います。

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サラウンド入門

入試では細かい内容までは突っ込まれないと思いますが、学内でサラウンドを扱った作品を作る学生も少なくないですし、そういった作品を聴く機会も結構あります。概略程度は把握しておいても良いのではないでしょうか。

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音響技術史

文字通りですが、音響関連の技術の発展の歴史が書かれています。シラバスを参考にするとわかることですが、学内の授業でも参考書籍に指定されているぐらいなので、試験のネタとしても使われ得る内容だと思います(あくまで、個人的見解)。出題されなかったとしても、音響に興味のある方にとっては志望理由書や面接などのネタ素材となると思うので、買っておくのも損はないと思います。

音楽の教科書

公式サイトにも「音楽の教科書程度のことを出題する」という趣旨のことが書かれていますが(この本だけだと対応するのは難しいかと)、最近の音楽の教科書はクラシック、ジャズ、ポップスなどについて幅広くまとまっているので、音楽全体の歴史に関して概観しつつ、過去問などの出題状況を踏まえて足りないと感じるところを調べてカバーしていくというような使い方をすれば有用な資料ではないかと思います。

一次の筆記試験で役立ちそうなウェブサイト

SENZOKU ONLINE SCHOOL OF MUSIC

https://www.senzoku-online.jp

ドラマ版の「のだめカンタービレ」のロケ地になったことでも有名な洗足学園音楽大学がタダで提供しているウェブサイトです。楽典や音楽史、和声や対位法なども学べるようになっています。自分が勉強したことが身についたかどうかの確認としても使えるサイトだと思います。

残りの内容は、後半(2ページ目)に続きます。

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