FinaleがFinaleしてしまった件
譜面制作ソフトとして趣味の人から出版業界やプロの作曲家まで様々な人が使ってきたソフトであるFinale。そんなFinaleが開発終了するとのこと。OSのアップデートに合わせてコードを継ぎ足し継ぎ足ししていったらコードが数100万行に及ぶようになった(以下略)ということで開発が終了するとのことだ。
では次にどうするか選択肢を考えてみた
Finale公式はDoricoに乗り換えることを推しているようだが、他にも選択肢があるにはある。国内・海外のもの、無料・有料のものも含めて備忘録程度に書いておくとする。
①Finale専用機を用意しておく
PCが壊れるまで使うか、自作PCを組んだ経験がある人ならばこの選択肢はありかもしれない。自分はそっち方面の知識はないので、詳しい人に相談するのが一番良さそうな気がしている。
②公式の推しであるDorico
Steinbergから出ている楽譜制作ソフト。公式の案内によると、Finaleユーザーだと割引で購入できるようになっている。アカデミック版や通常のクロスグレードと比べると比較的安価に入手することができるので、OSのアップグレードの関係などからFinale以外に乗り換えようと思っているのであれば、価格の面で言うと有力な検討候補になるだろう。解説本も出ているし、お試し版も使えるようなので、操作性・デザイン等をSibeliusと比較して検討することになりそうだ。
公式サイト
https://www.steinberg.net/ja/dorico
解説本
YouTubeでの解説例
Finale公式による乗り換え案内
日本の代理店による乗り換え案内
https://support.musicecosystems.jp/hc/ja/articles/37003431222809-Doricoにクロスグレードしたい
③Sibelius
ProToolsを出しているAVIDから出ている楽譜制作ソフト。永続版も存在するのだが、OSが新しくなることを考えるとサブスク利用することになり、その値段はそこそこ高い...
手早く、綺麗な譜面が作れるとのことで、レコーディング現場などではよく使われていると話には聞くものの、使用頻度がそこまで多くない人がサブスク利用する意味があるのかというと、そこは一度立ち止まって考えるべきだと思う。
公式でも解説がされているし、本も日本語で出ており、さらに、YouTubeでも使い方を解説している動画などがあるため、取っ付きにくいことはないだろう。お試しで利用できるようにもなっているので、Doricoと比較して決めるのが無難な気がしている。
公式サイト
解説本
YouTubeでの解説例
④Muse Score
無料で使えるということで、趣味で利用している人が多いであろうMuse Score。無料で使えるという点は大きいが、個人的にレイアウトが好みではないのでオーケストラの譜面を作る場合には選択肢に入れたくない。メロ譜だけで良いなど、シンプルな譜面しか要らない場合には使うのもありな気がしている。
こちらに関しては公式サイトに解説が詳しく載っているので、困ったら読んでみると使い方がわかるようになっている。
公式サイト
⑤Notion
Studio Oneなどのソフトを出しているPreSonusによる楽譜制作ソフト。スマートフォンやタブレットなどのアプリとしても出ており、連携が可能になっている。一応日本語で解説しているサイトもあるけれども、ユーザー数は多い印象はない(解説の少なさから判断)。そして、これもレイアウトが個人的に好みではないので、候補としてはあまり有力ではない。Studio Oneを使用している人で、一応楽譜も書くという人がお試しで使ってみて合うか合わないかを判断するのが良いのではなかろうか。
公式サイト
https://www.mi7.co.jp/products/presonus/notionmobile
⑥スコアメーカーZERO
国内企業であり、ピアノで有名なKAWAIから出ている楽譜制作ソフト。Finaleが廃止してしまったPDFから楽譜を取り込み、編集できる機能がある。16パートまでという制限はあるが、ハリウッド映画並みの大編成でスコアを書くというのではなく、ピアノ伴奏+歌唱というクラシックのよくある声楽曲を移調したいなどという場合にはこの機能は使いやすそうだ。欠点として挙げるのであれば、このソフトはWindowsでしか使えないということとサブスクであるということだろうか。解説本も公式が出しているし、日本の国内企業なのでサポートへの相談がしやすいという点はメリットかもしれない。自分の場合は特によく使うような機能があるわけではないので、現状ではこのソフトを使う予定はないが、今後の使用目的の変化によっては検討の価値は多少ありそうだ。
公式サイト
⑦Staff Pad
iPad用の楽譜制作ソフト。ApplePencilで手書き入力が可能になっており、Cinesamples,Orchestral Tools,Spitfire Audioなどの作曲家がDAWで使用することの多いソフト音源を利用して作成したスコアの音源を再生することができるようになっている。Finale付属の音源だとどうにもショボくなりがちであるが、こうしたものを使うことで演奏の際のイメージを高めることはしやすくなる。手書きでスコアを書く方が早いという人には検討する価値があるかと思うが、日本語での解説はそんなにないので、英語など海外の言語でも検索してみる方が良いだろう。
公式サイト
選ぶ上で考慮したい要素
以上に選択肢を挙げてみたが、あくまで自分が選ぶならば候補になりそうなものはという視点で選んだものだ。楽譜制作ソフトについてめちゃくちゃ詳しいわけではないので、他にもソフトはあるのかもしれないが、ここではこれ以上触れないでおく。
慣れ親しんでいたのに、もう新しいPCだと使えなくなるなんて...という気持ちが大きいので、自分が今後譜面を作る上で考えておこうと思う要素を以下に挙げてみる。
①使い方がわかりやすいか
これが一番だろう。日本語で書かれている資料が豊富であれば文句の付け所がないが、そうでなくても英語のようなメジャーな言語であれば翻訳ソフトをしようしても変な訳に出くわす可能性がないため、難なく使用できるはずだと読んでいる。
②編集が楽である
連符の入力時のバグ(例えば、4/4拍子の4拍目で三連符を入力しようと思ったらうまくいかないことがある等)やレイアウトを変更する際にFinaleではストレスに感じる点があったので、これを少しでも軽減してくれるかどうかは考慮に入れたい。
③カスタマイズが可能であるか=作業の効率化ができるか
Finaleを使う際、Stream Deckにマクロを組んでいたので(ガチ勢ほど細かいのを作れてはいなかったけど)、同様に改造しやすい仕様になっているかが気になる。少しでも作業を楽にできるような作りになっているかも大事な点ではないだろうか。
最後に
お試しで使ってみたり、解説などのサポートが充実してそうなものを選ぶのが無難かもしれないと個人的には考えている。楽譜を作成する頻度がそこまで多いわけでもないのと、Macを新調するまでまだ暫く余裕があるので、自分はもうちょっとだけ考えてから決めることにしている。